うつ病、不眠症、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害、摂食障害などの治療を専門とする、心療内科・精神科のクリニックです。

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まるおストレスケア
クリニック
(心療内科・精神科)
山口市矢原町2番16号(1F)
TEL:083-934-0556
FAX:083-934-1556

 

パニック障害とはどんな病気?

突然、動悸と息苦しさを感じ、このまま死んでしまうのではないかと不安に教われ総合病院を救急受診しました。 検査上異常はなく、「パニック障害」ではないかと専門医の受診を勧められました。 「パニック障害」とはどのような病気なのでしょうか?また、良くなるものなのでしょうか?

前述の症状(発作)を「パニック発作」と言い、他にもめまいや吐き気、身震いや手足の震え等もあります。 このような発作が繰り返し起こるのを「パニック障害」と言い、100人中1〜2人に見られるまれではない疾患です。 検査をしても、異常が現れないのも特徴の一つです。 パニック発作が何回も起こると「また発作が起こるのではないか」と不安が強くなり、以前発作のおきた場所や状況を避けるようになります(回避行動)。 原因には、脳内の神経伝達物質のアンバランスが想定されており、それらを調整する薬物(SSRI等)によって改善が期待できます。 悩まずに思い切って、専門医に受診することをお勧めします。
(サンデー山口 2006年12月10日掲載)

車の運転時に感じる不安感の正体は?

最近、自分でもおかしいと思うのですが、車で段差を越えた時、人をひいたのではないかと気になって、何度も確認の為、Uターンしてしまいます。これは病気なのでしょうか?

「強迫性障害(OCD)」の可能性があります。 ガスの元栓は締めただろうか?戸締りはきちんとしただろうか?手はきれいに洗えているだろうか?…つい不安になって確認をしてしまうことは、誰にでも経験があることです。 しかし何度確認しても不安がおさまらない状態にまでエスカレートしてしまい、このような強いこだわりが習慣的になり、日常生活や社会生活に支障をきたしてしまう心の病気が「強迫性障害」です。 最近では、「加害への不安」や順序や左右対称へのこだわりも多いようです。 OCDの生涯有病率は、1.9〜3%と言われ、特別な病気ではありません。 現在では原因は脳内の伝達物質のアンバランスで、治療が可能になっていますので、専門医に相談されてはいかがでしょうか。
(サンデー山口 2007年3月17日掲載)

恥ずかしがりは、治療可能なのでしょうか?

昔から極度の恥ずかしがりで困っています。 最近テレビで治療すれば治るものもあると聞いたのですが、本当でしょうか?

それは「社会不安障害(SAD)」の事だと思います。 たけしの「本当は恐い…」で放送されたので、ごらんになった方も多いかもしれません。 典型的な症状はスピーチ恐怖、会食恐怖、書痙、電話恐怖などです。 同時に、動悸や手足のふるえ、顔が赤くなったり、ひきつったりする等の身体症状をともない、ひどくなると頭がまっ白になったり声がでなくなる事もあります。 これらは今まで「内気な性格のせいだから治らない」と言われてきました。 しかしSADは、れっきとした病気なのです。 SADは脳内の扁桃体という部位が普通の人より過敏に反応することで生じます。 激しい動悸や汗が生じるのはそのためです。 そして過敏な反応は薬による治療で押さえることが可能です。 また、ニートやひきこもり等の背景にSADを患っている可能性も指摘されています。 治療可能なものですので専門医に御相談される事をお勧めします。
(サンデー山口 2007年6月6日掲載)

睡眠中、大きなイビキや呼吸が止まったようになるのは?

夫のイビキがひどくて困っています。 それに、時々呼吸が止まったようになるのも気になります。 心配ないのでしょうか?

睡眠時無呼吸低呼吸症候群(SAHS)〔睡眠時無呼吸症候群(SAS)ともいう〕の可能性があります。 大きなイビキ、起床時の頭痛、夜間の呼吸停止、日中の強い眠気などがあり、潜在患者は人口の1〜2%と言われ、放っておくと高血圧や心臓循環障害、脳循環障害の危険性が2〜4倍増すとも言われています。 新幹線のオーバーラン事故で一時有名になりましたが、居眠りによる事故等社会生活に重大な悪影響を引き起こします。 しかし、現在では、診断や治療法が確立されています。 腕時計感覚で呼吸やイビキ、血中の酸素濃度を計れるポータブルなものが出ており、自宅で検査が出来ます。 また、睡眠中に気道が閉じないようにする装置(CPAP)もあり、いずれも保険適用が可能ですので、一度専門医に相談される事をお勧めします。
(サンデー山口 2007年7月11日掲載)

抗うつ剤は痛みの抑制に効果があるの?

頑固な痛みに困っています。鎮痛剤もなかなか効きません。 このような痛みでも抗うつ剤でよくなる事があると本に書いてありましたが、本当でしょうか?

本当です。 通常「痛みの情報」が脳に伝達される時は「痛み抑制物質(セロトニン、ノルアドレナリン)」が脳から分泌される事により患部近辺で一定の「痛みの情報」をシャットアウトします(下降性疼痛抑制系と言われます)。 この機能がうまく働かないと「痛みの情報」が緩和されないまま脳に伝達され、強い痛みを感じ続けることになります(慢性疼痛)。 また、痛みは気分の落ち込みを呼び(うつ状態)、更に痛みの感受性を高めます(痛みとうつのスパイラル)。 抗うつ剤は、ノルアドレナリンやセロトニンの量を増やす事でこのような痛みの伝達の悪循環を改善すると言われています。 腰痛症や舌痛症、ヘルペス後の疼痛、線維筋痛症などでは、かなり効果が認められています。 一度、専門医にご相談されてはいかがでしょうか。
(サンデー山口 2007年9月7日掲載)

お昼頃に起きてくる息子の不登校が心配です。

中2になる長男が、朝起きられず、お昼頃に起きてくるので今、学校も休んでいます。 夜早く寝るように言うのですが、2時、3時まで起きているようです。不登校も心配です。 どうすればよいでしょうか?

私達の睡眠は、いわゆる「体内時計」に大きな影響を受けています。 体内時計は、25時間リズムで働いている為、放っておくと1時間ずつ起きる時間、寝る時間がズレてしまいます。 朝起きられなくなり、ひどくなると昼夜逆転等も生じてしまいます。 体内時計は、朝太陽光を浴びることでリセットが行われ、その15〜16時間後に眠気がきます。 昼頃起きれば夜中3時、4時にならないと眠気が来ないのも当然で、ご長男は睡眠相後退症候群(DSPS)かも知れません。 これは1979年米国で提唱された疾病概念で、現在増加の一途をたどっています。中学生、高校生が夏休み後になることも多く、我が国の高校生の0.4%に見られます。 不登校の原因の一つです。まずは、朝起きの習慣で体内時計のリセットを。早起きが早寝の前提です。
(サンデー山口 2007年12月8日掲載)

高齢者のうつ病と認知症の違い

姑が最近、活気がなく「物忘れがひどくなった」「認知症では?」としきりに気にする為、総合病院で診てもらいましたが、 「認知症」の疑いは少なく、むしろ「うつ」ではないかと専門医への受診を勧められました。 何となく釈然とせず、まだ受診していません。受診したほうがいいでしょうか?

高齢者のうつ病は、「認知症」と間違いやすく、かつて「認知症」が「痴呆」と言われた頃に「仮性痴呆」と言われたこともあります。 考えがまとまらず、物事を決めれなくなる為、頭が働かなくなったと自覚され、本人も周りも「認知症」と思ってしまうことがままあります。 認知症の増える年代ですので見逃されることが多いのですが、認知症よりも改善が期待できるので受診されることをお勧めします。 両者を見分けるポイントとして、うつ病では憂うつ感、物忘れに必要以上に過敏だったりしますが、認知症ではむしろ、のんきそうだったり、深刻感がないように見える等違いがあります。 又、脳卒中後約20%の人にうつ病がみられ、リハビリの阻害要因として知られていますが脳血管性認知症とまぎらわしいので注意が必要です。
(サンデー山口 2008年1月13日掲載)

父親が夜中に起きだして周りも起こして回るので困っています。

82歳の父親が、去年母がなくなってから「玄関に誰か来とる」とか「母さんが来とった」と言い、夜中に起きて周りも起こして回り、困っています。 が、日中はむしろケロッとしているか、ウトウトしている事が多いようです。どう対処したらいいでしょうか?

「夜間せん妄」が疑われると思います。 「せん妄」とは軽度ないし中等度の意識障害に幻覚、せん妄といった誤った知覚、認識興奮が加わって、不安及び不穏な多動状態をきたすものです (過活動型せん妄といいます。もう一つ低活動型せん妄もあります。) 「夜間せん妄」という言葉がよく使われるように症状は夜間に出現、または悪化することが多く、他に術後や合併身体症状があるときにも見られます。 身体、薬物など原因がはっきりしている時は、原因を取り除けば次第に改善します。 しかし、高齢者や認知症をもつ方で原因がはっきりしない人には薬物療法が必要になります。 また、多くは昼夜逆転を伴っており、日中の覚醒度を上げ生体リズムを正常化し、夜間睡眠がとれるようになるとせん妄も改善することがあります。
(サンデー山口 2008年3月2日掲載)

喫煙が「病気」として治療対象になっていることに疑問を感じます。

最近、喫煙が「病気」として治療対象になっていることにいささか疑問を感じますが?

 もっともな疑問だとは思います。 しかし、タバコには4千種以上の化学物質が含まれており、そのうち200種以上が人体に有害で60種以上の発がん物質が含まれるとも言われ、最近では、がんのリスクだけでなく、コレステロールや血圧、糖尿病のリスクもあると言われています。
 実際、英国で、喫煙しているドクターはそうでないドクターより10年寿命が短いという追跡調査や、各国の公共施設の全面禁煙により心臓発作が減り、ニューヨーク州では医療費が5600万ドル減ったとか。 メタボ対策より効果が高いと言う専門家もいます。
 しかし、病気のリスクを高めるのが明らかなのにやめにくいのはそこに「ニコチン依存」の問題があるからです。その為治療法として、現在ニコチンパッチの他に飲む禁煙薬も保険で使えるようになりました。 それは治療対象と考えられているからです。
(サンデー山口 2008年6月8日掲載)

不眠は生活習慣病を悪化させますか?また、市販のものと医師処方の睡眠薬の違いは?

不眠も生活習慣病を悪化させると聞きましたが、本当でしょうか?また、市販の睡眠薬は、医師が処方する薬と違いがありますか?

 睡眠も食事や運動と同じように身体にさまざまな影響を与える重要な生活習慣です。 糖尿病では睡眠時間が短くなると、インシュリンの働きを悪くするホルモンが多くなる事や、糖尿病の方の不眠が改善すると、血糖コントロールが良くなったという研究もあります。
 また、眠れないと交感神経が高ぶったままで、夜の血圧が下がらず、朝や翌日の血圧も高くなります。食事や運動療法も大切ですが、睡眠はそれらにも劣らず大切です。 ただ、自分でコントロールが難しいものですから悩まず医師の助けを借りることも大事でしょう。
 なお、薬局で購入できる睡眠薬は、抗ヒスタミン薬(アレルギーなどに使われ眠気がある)や生薬を含むものなどがありますが、このうち抗ヒスタミン薬は2〜3回服用後、改善がなければ医師の診断を受けることが薦められています。 これらは医師の処方する睡眠薬とは全く異なるものです。
(サンデー山口 2008年9月7日掲載)

子供の頃から朝出かける時何度も便意があり、すぐ下痢をして困っています。病院では「過敏性腸症候群」といわれました。

 24歳男性です。 子供の頃から朝出かける時、何度も便意があり、すぐ下痢をして困っています。 就職してからも出張等、いそぐ時に特に困ります。
 病院での検査では異常なく「過敏性腸症候群」と言われました。 ストレスとも関係あると言われましたが、どうすれば良くなるものでしょうか?

 「過敏性腸症候群」(以下、IBS)は、腸には検査上異常はないのですが、腹痛、下痢、便意を伴う便通異常が続き、日常生活にも大変苦痛を伴うものです。 日本人の成人で12.5%、約1200万人いると言われます。下痢型、便秘型とその混合型があり、近年ストレス社会の到来により増えていると言われています。
 なぜストレスで下痢や便秘になるのかは「脳腸相関」でのセロトニン異常が深くかかわっていることがわかってきました。 最近これら「脳腸相関」の異常を改善する薬も出ており、治療効果が上がってきています。 治療は、これら薬物療法とともに、食事、ライフスタイルの改善等、総合的な取り組みが重要です。
(サンデー山口 2008年12月7日掲載)

52歳の夫が、夜中大声で怒鳴ったり、暴れたりするようになりました。夫はその間のことを覚えていないようなのですが、病気なのでしょうか?

 52歳の夫が1年くらい前から、夜中大声で誰かを怒鳴るようになり、2週間前から明け方近くにふすまを蹴ったり物を投げたりしてあばれるようになりました。
夫は「覚えていない」、また時には「夢を見ているようだ」と言います。病気なのでしょうか?また、治るものなのでしょうか?

 レム睡眠行動障害(RBD)の可能性が高いと思われます。
レム睡眠とは、体は寝ているけど脳は起きている状態で、人が夢を見るのもこのレム睡眠です。
 通常この時には脳からの運動指令が遮断されているのですが、RBDでは、何らかの原因でこの遮断が働かなくなり、夢の中の行動がそのまま異常行動となって現れます。
 大声も困りものですが、徘徊等でケガをすることもあります。 アルコールやストレスは増悪因子といわれています。
また、せん妄に似ていますが、持続が短く、認知症の併存もなく、日中の生活は普通で明確に区別できます。
 ただ、薬物がよく効くことが知られていますので、専門機関に相談される事をお勧めします。
(サンデー山口 2009年3月1日掲載)

父親がもの忘れをするようになってきました。幻覚を見ることもあるようです。どういう病気なのでしょうか?

 65歳の父親の事です。この頃、もの忘れをするようになってきましたが、最近になって「子供が枕元に座っている」とか「壁に虫が這っている」などと言い始め、いかにも目の前に見えているようにように言います。 そうかと思うと、しっかりした話をして正常に思える時もあります。ここ半年は歩くのも遅くなり、時に転ぶこともあります。 最近は幻覚が見える頻度が増えているように思いますが、どういう病気なんでしょうか?

 レビー小体型認知症(以下DLB)かもしれません。
DLBは、アルツハイマー型認知症に次いで多い変性性の認知症で男性は女性より2倍多いと言われます。 アルツハイマー型認知症と違うのは、初期から幻覚、特に幻視が現れること、パーキンソン病に似た歩行障害や身体の硬さ、更に便秘や尿失禁、起立性低血圧など自律神経障害を伴う点です。
 初期診断は難しいのですが、血流シンチ等の検査により診断が可能であり、適切な治療を受けると見違える程元気になる患者さんもおられます。認知症に詳しい医師に相談することをお勧めします。
(サンデー山口 2009年5月1日掲載)

睡眠薬は飲み出したらクセになって止められないと聞きますが、実際はどうなのでしょう?

 最近眠れない日が続いていると言ったら、かかりつけ医から眠剤をもらいました。 夫は、「やめておけ」「酒でも飲めば眠れる」と言います。 眠剤は飲み出したらクセになって止められないとも聞きますが、実際はどうなのでしょうか?

 睡眠に問題を抱えている人は4割を超えるとも言われ、大きな問題となっています。 不眠と睡眠不足(残業や夜更かし等)をまず分けないといけませんが、いずれも積み重なると糖尿病や高血圧等の生活習慣病やうつ病のリスクが急増することが知られています。
 睡眠薬より寝酒を勧める人もいますが、アルコールは睡眠の質が悪くなり、中途覚醒が増え、習慣化すると耐性が生じるマイナスが多く、むしろ睡眠導入剤は適量を適正に使用する限りアルコールよりも安全と言えます。
 服用中止に際しては、作用時間の短いものほど反跳性不眠や退薬症状を生じやすいので、徐々に減量しながら中止にもっていく等の工夫が必要です。 勝手に中断せず担当医にご相談ください。
(サンデー山口 2009年8月5日掲載)

眠る前になると、「足」がムズムズして火照ります。足を動かさずにはいられず、なかなか眠れません。何かの病気でしょうか?

 眠る前になると、「足」がムズムズして火照ります。足を動かさずにはいられず、なかなか眠れません。何かの病気でしょうか?

 レストレスレッグ症候群(むずむず症候群以下RLS)の可能性があります。 RLSの有病率は人口の2〜5%と言われていますが、疾患の認知が進んでいない為、なかなか受診にまでは至りません。 夜間睡眠時(特に寝入りばな)に太ももやふくらはぎで不愉快な耐え難い感覚が起こるのがRLSです。 就床後にこのような症状が生じる為、入眠が障害されます。 足を動かすことによって不快感が改善するのも特徴で、ひどい時は歩き回ってようやく改善することもあります。 背景に腎透析や鉄欠乏性貧血があることも知られており、鉄欠乏性貧血の場合には鉄剤投与が有効です。 発症には中枢系ドパミンニューロンの障害が考えられています。 QOLにも大きな影響を及ぼしますが、多くの方は薬物で改善しますので、ぜひ専門医にご相談ください。
(サンデー山口 2009年12月2日掲載)

父が交通事故で頭を強く打ちましたが、早期治療によりマヒや言語障害はなく安心していました。ところが、仕事に戻ると以前のように段取りよく仕事ができなくなり、結局復職できていません。どうしてでしょうか?

 父が交通事故で頭を強く打ちましたが、早期治療によりマヒや言語障害はなく安心していました。
ところが、仕事に戻ると以前のように段取りよく仕事ができなくなり、結局復職できていません。どうしてでしょうか?

 脳損傷により、”高次脳機能障害”を生じていることが考えられます。
この方のように脳外傷のほか、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血等の後にも起こることが知られていますが、認知度がまだ低い為、医学的には問題なしと診断されることも少なくありません。 記憶障害のほかに、何事にも時間がかかる。 段取り悪く混乱してしまう。 複数のことが同時にできない。 感情をおさえることが難しくなる等、症状は多種多様ですが、本人やまわりが理解できていないことが問題を難しくしてしまう場合が多々あります。 大切なのはまわりの「理解」です。
また、障害の程度によっては、障害年金や手帳制度が使えますのでご相談下さい。県では身障者福祉センターに相談窓口があるそうです。
(サンデー山口 2010年3月17日掲載)

年齢とともに寝つきが悪くなり、朝方は起きにくいという状態が続いています。薬を使わないいい方法はありますか?

 年齢とともに寝つきが悪くなり、そのくせ朝方はなかなか起きにくいという状態が続いています。
薬を使わない良い方法はありますか?

 年齢とともに睡眠時間は短くなります。 成人以降50歳代までは、6時間半から7時間半、70歳を超えると6時間弱と言われています。
 睡眠は「体内時計」の影響を受けており、起きて日光を浴びるとリセットされ、約15〜16時間後に眠気が現れます。 多くの人の体内時計は25時間の為、リセットがうまくいかないと1時間ずつ寝るのも遅くなります。 休日遅くまで寝ていると休み明けの朝がつらくなるのもこの為です。
 対策としては、寝たい時間の15〜16時間前には起き、光を十分浴びる事。 眠りが浅い時はむしろ、遅寝早起きをしてみる事です。 本来の睡眠時間の2〜4時間前は最も寝つきの悪い時間帯なので、早く寝ようと意気込むと逆効果です。 昼寝も15時までの30分以内ならOKです。
 不眠には特殊なタイプや背景に「うつ」等がある事もありますので、長引けば相談してください。
(サンデー山口 2010年6月9日掲載)

50歳を過ぎてから寝付きが悪く、夜中に2〜3度目が覚めます。不眠で死ぬことはないと言われますが、苦しくてたまりません。

 50歳を過ぎた頃からなかなか寝付けず、夜中に2〜3度目が覚めます。
かかりつけ医は、「不眠で死ぬことはない」と言われますが、苦しくてたまりません。

 確かに昔は、「不眠で死ぬことはない」と言われていましたが、最近の疫学調査では、不眠により、中年男性の高血圧は2倍、糖尿病は2〜3倍リスクが高くなるといわれ、生活習慣病と大きく関係することが分かってきました。 うつ病発症リスクについても2〜3倍高く、不眠は生命予後に大きく影響することが分かっています。 「お父さん、眠れていますか?」キャンペーンを目にした方もいると思いますが、現在では積極的に治療が必要なものと考えられています。
 睡眠については誤解も多く、まずはきちんとした知識を得る必要があります。 眠剤も鎮静的な眠剤だけでなく、メラトニンという体内リズムに関係する受容体に働きかける薬も出ています。 生理的睡眠を促進するもので、やめる時も反跳性の不眠がなく使いやすいものです。
中年や年配の方に使いやすい薬ですので相談してみられては?
(サンデー山口 2010年11月3日掲載)

睡眠薬を飲んでいますが、止める際のコツのようなものはありますか?

 睡眠薬を飲んでいます。そろそろ止めたいのですが、止める際、何かコツのようなものはありますか?

 睡眠薬は不安だとか、まわりが止めろと言うので止める、というのは、もしまだ不眠が改善していないなら、時期尚早と言わざるを得ません。 現在使用されている睡眠薬は、適正に用法容量を守れば、基本的に安全性の高い薬物です。 十分不眠が改善しているのを確認して止めてください。
 その際、次の2点をチェックしてください。
(1)不眠及びその原因が消失している。(心痛etc)
(2)不眠に対する恐怖感が消失している。
それらをクリアしていれば、作用時間の短い薬は反跳性不眠や退薬症状を生じやすいので、漸減しつつ中止を。 作用時間の長い薬の場合、ゆっくり血中濃度が下がるので、服用しない日を設け、徐々に服用しない日を増やしていく。 作用時間の短い薬は長い薬に一度、置換する方法もあります。
 いずれにせよ、自己判断ではなく、主治医との相談が必要です。
(サンデー山口 2011年3月2日掲載)

あがり症で、PTAの司会をする際に、あがって、頭が真っ白になり、冷や汗と動悸で倒れそうな気分でした。何かよいアドバイスをお願いします。

 32歳主婦です。元々あがり症で人前で話をするのは苦手でした。 最近、子どものPTAで役員となり、司会をすることになりましたが、あがって、頭が真っ白になり、冷や汗と動悸で倒れそうな気分でした。 以来、会合に出るのが怖く、前日は心配でなかなか寝つけません。 何か良いアドバイスをお願いします。

 人の目が気になり、人前では食事がノドを通らないとか、話すことができない、字が震えて書けない等のために、人が集まる場面を避けるようになる、社会(社交)不安障害という病気があります。 学業や就業、さらには結婚など社会生活に大きな問題を抱えてしまうことが多く、アメリカでは、7〜8人に1人がこの病で苦しんでいるとも言われ、かなりポピュラーな疾患です。
これは単なる性格の問題ではなく、治療可能な疾患と考えられています。 あなたが、怖いからと避けたくなってもまずは避けないよう努力してみてください。 それもできないと思うほど苦痛であれば、専門医に相談をされることを勧めます。
(サンデー山口 2011年6月1日掲載)

「うつ病」と診断され、治療を受けていますが、病院を変えたところ「躁うつ病」との診断で、薬が変わり大分良くなりました。自分では「うつ」だと思っていたのですが…。

 36歳男性です。「うつ病」と診断され治療を受けていますが、なかなか良くならないので病院を変えたところ「躁うつ病」との診断で、その後薬が変わり、大分良くなりました。 自分では「うつ」だと思っていたのですが…。

 おそらく軽い「躁」エピソードがあると判断されたのでしょう。 うつの時期がほとんどで、間に軽微ながら「躁」があるタイプを「双極U型」(BPU)として躁うつ病とみなすようになりました。 うつ病の中には、十分な薬物療法にも効果の乏しい難治性うつ病が10〜20%存在すると言われており、その25〜59%が実は躁うつ病であるという報告があります。 難治性うつ病の一部に躁うつ病の治療が必要なものが含まれているわけです。 一方うつ状態で治療が始まった人に明らかな躁病相が認められ、「躁うつ病」と診断が確定するまで7〜8年必要とも言われています。 それまでは暫定的にうつ病として治療されることになります。 治療も主となる薬物が違ってくるので鑑別が必要です。
(サンデー山口 2011年9月7日掲載)

テレビ番組で長引く痛みに抗うつ薬が効くという話がありました。本当なのですか?

テレビ番組で長引く痛みに抗うつ薬が効くという話がありました。本当なのですか?

 本当です。 通常痛みが神経回路を伝わり、上行性に脳に達すると痛みとして感じるのですが、下行性に痛みの抑制物質が出ることにより、痛みを軽減することが可能です。
 痛みのシグナルは痛みの抑制物質(セロトニン、ノルアドレナリン、以下S/N)が放出されると伝達が抑制され、脳に伝わりにくくなります。 逆に何らかの理由でS/Nの分泌が減ると、痛みは悪化します。 したがって、S/Nを増やす働きを持つ抗うつ薬を使うと痛みが軽減できるわけです(SとN両方に作用する薬が良いと言われています)。
 諸外国では、糖尿病性疼痛や繊維筋痛症によく使われ、痛みにある程度効果が認められています。 以前は、古いタイプの抗うつ薬を使っていましたが、現在は忍容性(副作用等)の点から、新しいタイプの抗うつ薬が好まれるようになっています。
(サンデー山口 2011年12月9日掲載)

年齢とともに朝早く目が覚めて以前のように眠れなくなりました。そもそもどれくらい眠れば良いのでしょうか。

年齢とともに朝早く目が覚めて以前のように眠れなくなりました。そもそもどれくらい眠れば良いのでしょうか。

 不眠が高血圧や糖尿病のリスクとなる事が知られており、広範な疫学調査によると、糖尿病、高血圧とも7時間睡眠で最も少なく、 高脂血症では6時間台で最低である事が分かっています。 昔、8時間睡眠が良いと言われていたようですが、もっと短時間で良いようです。 アメリカの疫学データでも6年後の死亡率が最も低かったのは7時間前後であり、9時間を超えるとあまりよくないとのデータもあります。
 そもそも年齢と共に必要な睡眠時間は少なくなり、8時間は14〜15歳まで、25歳では7時間、45歳で6.4時間、 60歳以降はさらに短くなり70歳を越すと平均6時間弱になります。 年齢とともに短眠になるのは仕方ないものとして、日中しっかり覚せいして過ごせれば良しと、時間にあまりこだわらない方が良いと思います。 眠れないのに寝床に長く居るのは避ける事。休日も起床時間は一定にしましょう。
(サンデー山口 2012年3月2日掲載)

62歳女性、夕方から寝る前にかけて下半身に不快感が生じ、寝付けません。じっとしているとひどくなり、足を動かすと軽減します。その為か不眠傾向です。これは病気でしょうか。

62歳女性です。夕方から寝る前にかけて、下半身に不快感(むずむず感)が生じ、なかなか寝付けません。 不思議なことにじっとしているとひどくなり、足を動かすと軽減します。 その為か最近不眠傾向です。 これは病気でしょうか。

 むずむず肢症候群(以下RLS)の可能性が高いと思います。 RLSは@足を動かしたくてたまらない衝動で不快A安静時に悪化B足の運動により軽減C夕方から夜に悪化する、などの特徴があります。 そのため不眠となり、日常生活に支障をきたす病気として、最近注目されています。 欧米では有病率が10%弱で、女性に多いことが知られていますが、我が国の有病率はそれより少し低いです。 「認知度の低さも関係しているのでは?」と言われていますが結構ポピュラーな病気です。 鉄欠乏症などが背景に潜んでいる場合(二次性RLS)もあります。 そのような背景疾患のない特発性(一次性)RLSには新たな治療薬も開発されています。 症状がひどければ専門医に相談することをお勧めします。
(サンデー山口 2012年6月9日掲載)
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